2026/03/26 12:17

若い頃、病院で食事介助をしていた。

寝たきりの方が多い病棟で、
食堂に人が集まるのは
食事の時間だけだった。

認知症のある方も、
障害のある方も、
同じ空間で、同じ時間を過ごす。

それがとてもいいことなんだと、
頭じゃなくて、腹で分かった。

食事って、栄養じゃないんだと思った。
一緒にいることなんだと。

ふりりは、じいちゃんばあちゃんから
お父さんお母さんへと
受け継がれたおせんべいの仕事だ。

自分らしいおせんべいを
作りたいとずっと思っていた。

そんな時、ある方に言われた。

「うちの子、アレルギーがあって。
同じようなおせんべい、
作ってもらえますか」

愛犬の話だった。

アレルギーのある子は、
何かをもらう時に
「ごめんなさい」と断らないといけない。

それが子どもでも、愛犬でも、
なんか違うなとずっと思っていた。

同じものを食べられたら
うれしいな。

素材を4つにしたのも、
添加物をなくしたのも、
全員が食べられるように、という理由から。

人も、犬も、アレルギーの子も、
「おいしいね」って
同じ顔で言い合える瞬間のために焼いている。

自分の経験って、
捨てたもんじゃないんだなと思った。

病院での日々も、
受け継いだおせんべいも、
出会ったわんちゃんたちも。

全部、つながっていた。